野洲市、横浜市視察を終えて

生活困窮に陥る滞納整理から、生活再建型滞納整理へ


滋賀県野洲市は、人口5万人日本最大の銅鐸が出土した町。銅鐸をモデルにした「どうたく君」というキャラクターもスライドに登場します。
平成11年から消費生活相談をベースにして、多重債務支援や生活困窮支援事業を使いながら、市民の総合的な相談窓口(ワンストップ・相談窓口の一元化)をもうけて、市民生活を支えてきた自治体として有名です。
「相談を受けたら解決するまで付き合うのが当たり前ではないか」中心的役割を果たしてきた職員の当時の言葉が、こうした事業の発端だったといいます。

「税金や各種料金の滞納は、単独では絶対解決できない」
市民は、何をどうしたらいいかわからないのが多くの実態です。一方、払え払えだけでは、一向に解決できないと職員誰もが思ってきたといいます。


「滞納は、生活困窮のシグナル」
この視点があるかないかで、問題解決やその後の市民生活が大きく左右されると痛感しました。
市民相談課の出番です。「市役所には命を守るサービスがそろっている」
関係課につなぎ、解決へ知恵を絞る。行政書士や弁護士の力も借りる調整役を行います。
「おせっかい」が合言葉。
総合相談窓口として、市民の身近な相談相手となり、訴える言葉の奥の隠された問題まで探っていきます。
行政サービスは、原因別の対応をするようになっていますが、
それぞれの横の連携や調整をするのが市民相談課の役割です。

個人情報も取扱いの決まりを作って、各課で連携を可能にしているといいます。

生活困難者も経済的孤立だけでなく社会的孤立まで広げて対応しています。孤立死を防いだケースも紹介されました。
困難を解決し、市民も喜ぶ。それを誇りにする職員。安らぎとにぎわいをもたらす町づくりにつながり、近江商人の言葉でいえば「三方よし」です。

横浜方式は、待機児ゼロの特効薬になるのか。

横浜保育ウォッチング。待機児のカウントが、まやかしはあるものの、1年間に74か所の認可保育所を建設した横浜市。待機児ゼロと評判になりました。
ところが、認可保育所の26%が株式会社立保育所です。全国では2%と言われ、広島でも185中7園ですから、いかに群を抜いているかわかります。
バスを借りて2か所の株式会社立保育所を外から見学しました。

[
鉄道会社に働きかけ、補助も出して作らせた鉄道高架下保育園。ジャーナリスト猪熊氏は、「人が住まない所に保育所を作るのが適切なのか」と、川崎市産廃施設の隣につくられた株式保育所についても報告。待機児解消のためといって、実際は、「粗製濫造」と告発しました。

横浜市議会でも内部を視察した荒木由美子議員は、絵本や遊具がない実態に唖然としたといいます。運営費の支出にこうした予算はゼロでした。職員の研修費もわずかです。


園庭の中に高架の柱があります。死角になると心配の声がありました。

株式会社立の半数以上が、園庭の面積緩和を受けています。
ここも、わずかな広さの園庭が屋上にあり、5分以内なら近くの公園でも代替できるとしています。しかし、おとなの早足で5分で行けるかという場所にみなと公園がありました。観光スポットですが、子どもを一人置き去りにして帰ったことが問題になったそうです。

猪熊氏、アスク保育所について報告。
横浜の株式立保育所の1/6の24園を経営するのが、全国で124園を有する「JPホールディングス」という最大手の会社です。2年程度の経験で園長にさせる、安い給与から、強制的に会社の株を買わせるなど、内部の実態も取材されています。外食チェーンブラック企業みたいという印象です。この経営者が、政府の規制改革検討会議保育チームの委員といいます。

避難用の非常階段です。幼い子どもたちが、いざというとき本当に避難できるのか?

横浜市議団から、報告。
保育の運営費は、こどもたちのために使うという原則が、壊されていることを再認識しました。すでに、内部留保や有価証券化も可能。しかも、社会福祉法人の本部会計は、監査がおよぶが、株式会社の本部会計は監査が入れないといいます。公金を最後までチェック出来ないと古谷靖彦議員は、問題を投げかけました。

安倍首相は、横浜方式を絶賛し、株式会社立保育所の参入促進と障壁をなくせと檄を飛ばしました。平成27年度導入予定の子ども子育て新制度では、運営費を株式の配当にまわしてもかまわないという使途制限の扱いが、大きな問題です。「運営費は子どものために使う」これが原則ではないでしょうか。子どもをだしに 大手をふって金儲けに走る保育制度にしていいのですか!