何が母を追い詰めたのか・・・。


バンザイの姿勢で眠りいる吾子(あこ)よそうだバンザイ生まれてバンザイ  

俵万智さんの短歌です。子を慈しむ思いと誕生の喜びが伝わってきます。


楽しいはずの子育てが母を追い詰め、愛しいはずの我が子に手をかける、あってはならない事件が起きてしまいました。

昨日早朝、東区で1歳の男の子と4歳の女の子が死亡しました。
母親に事情を聴いたところ、殺害を認める供述をしたため、殺人の疑いで逮捕されました。
県警によると、容疑者の母親は会社員の夫と子ども2人の4人暮らし。調べに対し「育児に自信がなくなった」などと供述。夫は「ここ数日、様子がおかしかった」と話しているといいます。

SOSはなかったのか。きめ細かな相談体制、個別の訪問活動などの行政の支援体制は、どうだったのか、検証していかなければなりません。


今、母親の育児への不安や負担感が大変大きくなっています。
子育てのパートナーである父親の多くが、もっと子育てにかかわりたいと願っているにもかかわらず、現実にはかかわることができません。
ある調査で、30代の男性で週60時間以上働く人が4分の1にのぼります。9時以降に帰宅するお父さんがざらにいるということです。
9時と言えば、幼い子どもたちを、寝かしつける時間です。
夕食を食べさせてお風呂に入れる。そして寝かしつけるというこの時間が1日の中で一番忙しい。
4人に一人は、毎日ひとりで子育てを背負っていることになります。

とりわけ家庭に入っている母親は、朝から晩まで1日中子育てを担い、地域の中で孤独感を抱いています。
保育所への入所や一時保育、子育て支援事業など、子育て不安を軽減する取り組みをぜひ、自治体の責任で地域全体の取り組みにしていかなくちゃ!!


男性の働き方の問題も改善しなくてはいけません。
ワークライフバランス」なんてことばばかり先行して
育児休業制度も男性の取得は、わずか1%で増えていませんし・・・。
せめて、子育て中の長時間労働や、変則勤務、夜間・休日出勤、単身赴任などを制限が必要ですよね。


もうひとつ、女性への子育ての負担についていえば、
私たち女性の多くが、今だ子どもが生まれると仕事を辞めざるをえません。
そもそも、日本は、20代、30代のはたらく女性の比率がとりわけ低いのです。

その要因は、長時間労働など子育てしながら働き続けられない職場の労働条件とともに、保育所不足にもあります。
3歳未満の子どもが認可保育所を利用している割合は、フランス42%、スウェーデン44%に対し、日本は20%です。女性の社会進出を支える保育所などの条件整備がまだまだ遅れているのは明らかです。
「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」児童福祉法にてらして、保育所入所を待機させるなんてあってはならないこと。



そして、男性も女性も働くことと子育てが両立できる労働条件の確立は、待ったなしです。

特に、大企業が溜めこんでいる229兆円もの内部留保を社会的に還元して、はたらく人の状態を改善することは今一番求められています。
これは、内需にしっかりと基盤をおいた日本経済の安定的発展のためにも、企業の健全な発展にとっても、さらには日本社会の将来展望にとっても、決定的な意義をもっています。

人間らしく働けるルールを確立させてほしい!
子どもたちが育つ家庭環境を安定させるためにも・・・。

孤独な子育てを支援することから
ワークライフバランスそして日本の経済のあり方まで大風呂敷を広げてしまいました<(_ _)>