高齢者の外出の支えを守ろう!

高齢者交通費助成制度は「市から送られてくるお便りの中で、これだけが楽しみ」と高齢者が頼りにしているものです。申請者のうち47%の高齢者が、タクシー券を利用しています。
 ところが、11月21日、広島市は、2019年(平成31年)から廃止する方針を市議会に報告しました。来年3月の予算議会で、2年間だけ3000円に減らして、3年後に廃止する案を提案しようとしています。


 政令市では、11市が実施していますが、広島市の予算は、6億円・高齢者一人当たり約3100円に対して、横浜市約100億円・13700円、名古屋市約130億円・24000円(65歳から)など桁違いの予算を投入しています(自己負担あり)。これらの市は、市バスを持っていることもありますが、広島市の予算額は、ささやかな水準です。

 
 廃止の理由として、社会参加を目的としているのに、買い物や通院に使うことがけしからんと言いますが、廃止ありきの口実としか思えません。買い物や通院も外出のきっかけや外出を促すことであり、立派な社会参加ではないでしょうか。今、高齢ドライバーの事故が、問題になっていますが、車の運転をしなくていいように、交通費助成の制度が必要だと高齢者関連の学会から提言も出されています。こうした世の流れからも逆行するものです。

 
 今後、市は、高齢者交通費助成を廃止して、ボランティア活動や健康づくりの活動に参加するとポイントを付けて、助成する制度を作るといいます。所得制限をなくし、年間助成額を1万円に増やすと宣伝しますが、どんな活動を対象にするのか、どれだけの人が参加し、予算がどれだけかかるのか全く見通しをしめせませんでした。代わりの制度の見通しもわからずに交通費助成制度の廃止だけは決めるとは全く無責任な態度です。

 議会でも「ボランティアにも健康づくりにも参加できない人を排除するのか」「誰が、ポイントをつけるのか。地域や住民に混乱が生まれる」「ポイントのつく活動を誰が検証するのか」という懸念の声があがりました。


 私もこれまで、事務事業見直しで、高齢者交通費助成制度が対象にあがってから、廃止するなともとめてきました。視察に行った名古屋市では、市がおこなった敬老パスの調査で、社会参加はもちろん、環境や健康増進に役立ち、経済波及効果もあるという結果がでています。また、早くからボランティアポイント助成制度を始めた横浜市にも視察に行きましたが、対象者は限定的で、敬老パス制度も両方実施しています。
ボランティアポイント制度 ボランティア活動登録者8000人のうち4000人申請 予算額約7000万円・事務費含む(2014年) 

 高齢化が進むと予算が膨らみますが、必要性も安全性もないと住民が反対する二葉山トンネルの高速5号線には、総額1000億円を湯水のように投入するのに、高齢者福祉の6億円をケチるのは、税金の使い方がおかしいのではないでしょうか。