特別委員会が少子化対策の講演会を開催しました

22日、市議会特別委員会が、少子化対策の講演会を開催しました。政府の審議会委員をつとめているという中京大学松田先生が、スライドを使いお話をされました。講師は、シンクタンクに勤め広島市もクライエントだったとのことでした。


https://r.nikkei.com/article/DGXMZO24959800S7A221C1000000

直後、今年の出生数が発表され、2年連続100万人を下回り、先進国でもひときわ少子化と人口減少が止まらないという状況が報道されました。


講師は、少子化の原因を非正規が増え、そもそも結婚しない人が増えたことを指摘しました。いわゆる年収300万円の結婚の壁です。また、望む子どもの数を産むことが出来ない理由の一番は、経済的理由と言われていることも紹介しました。
こうしたことから、児童手当や教育の無償化の必要性を強調された点については、同感です。


ただ、自治体には、婚カツを勧められました。自治体にできることが少ないからか、他にないのかという思いもしました。述べられませんでしたが、スライドに住宅支援という文言が見えました。国の住宅セーフティネット対策の議論の中でだされた市営住宅の入居や家賃補助制度が、若い世帯にも必要だと思います。

また、良質な雇用を生むためには、製造業など工業分野を伸ばすことだと強調されました。同時に、企業誘致合戦は、ゼロサムに陥ると釘を刺されました。

なお、雇用の劣化を招いているのは、若者自身の都合ではありません。雇用破壊の原因と言われる派遣制度の改悪などは、財界の都合ですから、財源はしっかり負担してもらいたいものです。


さて、講師は、保育園を増やしていくことに否定的な印象を受けました。日本の施設保育よりベビーシッターをという意見のようです。これらは、保育士の配置が少なすぎることや待機児童対策として詰め込み保育が行われているなど質の問題にあるのではないでしょうか。
北欧ですすめられている0才児の家庭保育も提案されました。育児休暇の所得保障や児童手当の拡充などをすすめていけば、日本でも可能となるでしょう。


最後に、女性の社会進出が少子化の原因だとも言われますが、あまりふれられませんでした。
仕事が忙しく相手を見つける暇がないとして結婚できないのは、いまや男性も女性も同じではないでしょうか。非正規化の問題とともに、残業や長時間労働という働かせ方を変えることも、成婚率をあげるための抜本的な解決法です。

私は、男女とも仕事と子育を両立できる社会をめざしながら、安心して子育てできる環境を整えることが、今日的な少子化対策だと思います。

追記
国の少子化対策の遅れを高齢者対策に片寄っていたからという論がありますが、それには首を捻りたくなります。日本の少子化は、家庭の負担が重く公的負担が少ないことが指摘されています。親が子どもを育てる負担はもちろん、子が親を介護する負担も結婚できないとか子どもを産めない背景としてあります。ですから、自助共助公助論は、少子化や高齢化対策を自己責任に返す方向ではないかと思います。