生活保護への偏見ではありませんか。

与党だけが審議を進める国会厚生労働委員会参考人大阪市長が、生活保護利用者に対して、医療費窓口一部負担や生活扶助現物支給を求めたという記事を見ました。
偏見と差別に基づく首長の生活保護パッシングが、先進国の国会で許されるのかという思いです。

翻って本市でも、20日に厚生委員会が開かれ、生活保護利用者への就労支援と医療扶助適正化の取り組みが報告されました。

まず、就労支援事業について、今年度、自己肯定感の乏しい引きこもりなどのケースを対象に就労の前段階の訓練を拡充するというのが、目を引きました。ひきこもりなどのケースまで、就労の対象とするのかと驚きました。課長さんの答弁では、就労を必ずしも目的としない社会的自立を目指すとしています。

しかし、ひきこもりなどのケースへの支援は、相当専門性も必要ですし、伴奏型の息の長い支援が求められると聞きます。
まずは、ひきこもり支援の全体的な対策を立てることが先ではないでしょうか。これは本当に急がれます。
そのうえで、生活保護行政でどうかかわるかという話にしないとうまくいかないのではないかという意見を述べました。


続いて、生活保護費の45.8%を占めている医療扶助の適正化つまり削減をすすめるといいます。これまでも、他の議員から、医者代がかからないから過剰受診があるのではないかということが言われてきました。
本当でしょうか。


まず、国保加入者に比べて検診率も低く、生活習慣病の率も高いことから健康管理支援をおこなうとしています。
次に、頻回受診と重複受診を削減する指導を行い、後発医薬品の使用促進に取り組むといいます。

健康管理支援は、国保加入者との比較データからも必要性が認められますが、頻回と重複受診・投薬が生活保護利用者に多いというデータは示されていません。後発医薬品の利用に至っては、生保利用者のほうが高いと答弁されました。
答弁の中で、頻回受診は、特殊なケースであり、重複受診・投薬などは、医療機関に問題があるのではというような説明でした。現場から問題だという声はあがっていないと言いました。



厚生労働省の示す受診率のデータは、現役世代で生保利用者が高い傾向ですが、一方で病院にかからない世代でもあります。逆に高齢者や子どもの受診率が低いのが気になります。

そもそも、生活保護費のうち医療扶助が多いのは当たり前です。病気になり職も失う、医療費がかさみ貯金も底をついて、生活保護を利用するケースが多いからです。
精神疾患など長期の慢性病にり患した人も少なくないでしょう。

今回の報告にあったひきこもりケースへの就労前支援や医療扶助削減も経済財政会議で議論されていることから、政府を挙げて取り組もうとしています。

「若いのに働かない」
「医療費がタダだから、医療扶助が多い」

こうした生活保護の偏見を政府自らが助長させて、保護費の削減を狙っているとしか思えません。