子ども優先ではなく、民間業者の利益優先にするのか!

文教委員会で、給食センター廃止・民間丸投げ問題を質疑しました。


今、老朽化した五日市の3つの給食センターを廃止する、22校12000食の給食は、民間業者が建てて、民間業者が調理にあたる民間業者所有の給食工場に委ねる計画をすすめています。建設費相当分24億円を含む75億円を15年間で支払う委託契約です。国に指定されたお墨付きの事業だといいます。
国を挙げて、自治体の責任を投げ出し、子どもたちのためにというより、民間の業者のもうけに奉仕させるものです。


しかし、他都市でもデメリットがあると選択していません。
川崎市では新しく給食センターを建設するのに、「市の関与が必要。民間業者が提供する民設民営は、ふさわしくない。民間活力をいかすPFIによる公設民営にした。」といいます。
足利市は、2社が実施している民設民営の給食工場で実施していましたが、あらたに、2つの給食センターを建て替えることになり、公設民営を選択しました。

当時の市長は、「民設民営は、民間企業に任せすぎであり適切ではない。」「しかも、税金で建てさせるようなもの。民間活力を生かすことにならない」とブログで述べ、民営化賛成の人からもこの民間提供型はおかしいという声が出ているのです。


文教委員会の質疑で、次の問題を明らかにしました。
第一に、この民間の新給食センターは、調理を委託した可部給食センターと違って、学校給食法の共同調理場・給食センターではありません。
仕出し弁当や駅弁を作る業者の提供するデリバリー弁当と同じです。
ただ、学校給食衛生管理の基準及び大量調理施設衛生管理マニュアルの衛生基準を満たしていれば、給食を提供できると判断されているのです。
名前は、給食センターとつけられるかもしれませんが、民間給食工場です。


そのため、通常の建て替えなら、1/3国の補助があるが、この民間給食工場は、国の補助がでません。
さらに、国が給与を負担する県費の栄養士は、配置できません。
現在配置している6人分の栄養職員について、国からの給与負担がなくなり、市が市費で新たに置くのなら、全額市の財政負担です。
勢い、臨時または、嘱託になり、業者への指導に責任が持てなくなります。


この問題は重要です。当初文科省が誤って回答して、市も県費の栄養士が配置できると教育委員会議や議会にも説明してきました。このことだけでも差し戻して、説明しなおすべきです。


第二に、これまで、市がすすめてきた給食のルール(食材の調達の責任・前日調理は禁止・クックチル)を業者の都合のいいように変えようということです。
これまで、可部センターを民営化してもデリバリー弁当にしても、献立と食材は、市が責任をもつと強調してきましたが、あらたに食材の調達を民間業者に委ねます。

また、クックチルの導入により、前日調理はダメ、食べる2時間以内に出来上がるというルールでしたが、そのルールをかえることになります。先般、経産省規制緩和をもとめて、文科省がOKを出したと報じられています。

給食の業界団体・日本給食サービス協会は、食材も献立も任せてもらわないと採算が取れないといっています。当面は15年といっても、未来永劫民間給食工場に委ねていく計画であり、「子どもたちのために」から「利益のために」に代わっていくことになります。


第3に、業者が限定される問題です。
PFI方式なら多数の業者がいますが、民間提供型の民設民営の給食工場の実績のある会社は、足利市寒河江市武蔵村山市で営業している4社です。
その中で、広島市に弁当工場があるのは1社しかありません。
特定の業者を想定して、市の給食事業をゆだねることは、公正な行政をゆがめることになります。


このように、市の公設給食センターから、民間提供の給食工場へという給食提供形態は、大きな変更です。
しかも、他都市が導入に否定的・慎重な民設民営の民間給食工場を、政令市では先駆けてやろうというのです。
市民から心配の声が上がり、市議会に反対の請願が寄せられました。
保護者への説明は、契約が済んでからといいますが、この声にこたえて、保護者にきちんと説明すべきではありませんか。


文教委員会冒頭、質問の中で、請願を出した市民団体のチラシを「嘘ばかり書いてある。取り締まるべきではないか」と敵視する発言がありました。
請願に来ている市民団体に対して、失礼極まりないものです。厳しく抗議します。