今日は12月議会建設委員会でした。

私は、交通安全計画の素案について、高齢ドライバーの免許返上問題や通学路の安全、白島新駅のホーム転落防止などの意見を述べました。


また、議案外で「世界遺産原爆ドームに、ふさわしい周辺環境とは何か」について質問しました。

今月、観光が20周年記念事業としておこなったドーム周辺のイルミネーションが、ふさわしくないという声が寄せられ、物議をかもしました。今回のことについて、「公園法では、規制するものはない」「景観上は、景観重要公共施設指定区域とされているが、落ち着いた雰囲気なので問題ない。事前協議で確認した」と答弁しました。

雰囲気というのは、感じ方と言われれば難しい問題です。
しかし、かき船問題から、観光行政優先ではないかという不信感もあり、とうとう、ドームの周りまで電飾をおこなうのかという危機感も抱くのも無理からぬことです。

世界遺産は、「特別の価値を有しており、全人類の遺産の一部として保護されなくてはならないもの」とされ、原爆ドームは、核兵器の悲惨さを世界に伝える戦争遺構として、大きなメッセージを発しています。
「一体、ドーム周辺環境は、どうあるべきなのか」
どうも、そのものさしが、はっきりしていないと思います。



元安橋南のカフェの周辺です。

朝日新聞によると、ネットではドーム周辺のイルミネーションについて反対が上回っていましたが、実際見た人に聞くと8割が良いと答えたといいます。
元安橋南の河岸緑地をみれば、ドーム周辺は、おとなしいものです。
そんな意識も働いたのではないでしょうか?

右側が、かき船です。
かき船移設が問題になったときは、色合いなど景観を配慮したといいますが、その前庭は、到底配慮された雰囲気ではありません。しかし、「にぎわいがあってもよい区域としているので、景観上問題ない」といいます。
これが、バッファ―ゾーンとしてふさわしいと言えるのでしょうか。

この付近には、被爆瓦を集めた子どもたちが建立した慰霊碑があります。
しかし、イルミネーションと一緒に写真を撮っている人がいるのに対して、誰も近づく人はおらず、寒々しい光景でした。
まるで、軒を貸して母屋を乗っ取られたという印象です。



あらためて、世界遺産の諮問機関イコモス国内委員会の懸念表明での「バッフアーゾーンは、鎮魂と平和を祈念する場というドームとつながったものであること」という指摘を思い出すべきです。

また、今年7月、イコモス国内委員会が、バッファ―ゾーンについて、予備的提言を行っています。
「バッファ―ゾーンは、世界遺産本体と連続したもの、一体のもの、同じ精神性を共有することが要請されている」と保護施策の具体的な提言を行っています。
この考え方を基本方針として、景観計画などを見直すべきではないでしょうか。

原爆ドームは、バッフアーゾーンのほとんどが、公園や河川など公共空間です。
他の遺産のように民間住宅地や商業地が占めているわけではありません。
元安川お含め、区域Aを景観重要公共施設指定区域に指定すべきという専門家の意見もありました。
公共空間ですから、景観などの規制を強化できたはずです。

「バッファ―ゾーンは、世界遺産本体と連続したもの、一体のもの、同じ精神性を共有すること」
という姿勢にたつかどうかがあらためて問われます。

本来は、文化財保護担当の所管が、司令塔になるべきでしょう。