昨日は、平和推進・安心社会づくり対策特別委員会がありました。

防災・危機管理、核兵器廃絶、障害者福祉、高齢者福祉と重要事項が、盛りだくさんで資料も多く、発言するも資料が見当たらず、あたふたしてしまいました。


さて、来年度は、第7期高齢者施策推進プラン(2018〜2020)が始まり、介護保険料が改定になります。
第6期の推進状況が報告され、7期に向けて、国の介護保険法改正を受けて推進の柱が示されました。


これまでの取組みがどうだったのでしょうか。
国の法改悪で、特別養護老人ホームの入所に介護3以上という足切りが行われました。2014年度の入所申し込み者は、5737人でしたが、今年は、3570人に激減しました。7施設増えましたが、定員は419人増えただけですから、2000人余りの希望者はどうなったのでしょうか。


また、貯金が一定以上あれば、低所得者への利用料の減免が利用できなくなる、280万円以上の収入があると2割負担とされています。(今回の法改正で一定以上の所得の人は3割負担となりました)
施設入所者で、こうした影響で退所ということはなかったのでしょうか。


居宅サービスの指定事業所に変化がありました。
通所介護が2016年に363から221か所に激変しています。
報酬引き下げの影響でしょうか。


低所得者対策とありますが、2015年から市民税非課税世帯1段階に対して0,5を0,45へと引き下げました。
当時引き下げを圧縮し「やるやる詐欺」といわれた軽減措置です。これで、保険料滞納世帯は減ったのでしょうか。


要支援者を保険給付から外した新しい総合事業は、今年の4月から始まりましたので、昨年度までの事業の報告しかなく、まったく状況がわかりません。次期のプランに大きく影響があると思われるものですから、気になります。



さて、次期のプランの柱は、「自立支援・重度化防止」「エリアマネージメント」「共生型社会の形成」をあげました。聞きなれない言葉ばかりです。


それぞれ聞きたかったのですが、今回は、自立支援・重度化防止について聞きました。


先進例とされている大東市の「元気でまっせ体操」の取り組みをNHKクローズアップ現代が紹介していました。今年5月26日に成立した「改定介護保険法」で打ち出された「自立支援・重度化防止のための保険者機能強化」の「先進例」とされています。2016年4月から2017年2月まで11か月間で、要支援・要介護認定者数は10.5%減少し、とくに要支援1は32.3%、要支援2は26.0%と激減しているそうです。

大東市は「元気でまっせ体操」の場を「要支援者はデイサービスに行かなくても地域のサロンの場に行けば大丈夫」「介護保険を卒業する人の受け皿」と位置付けて、自立と卒業を強いるものです。

そのため、デイサービスからの「卒業」で自宅に閉じこもり孤立する人や、病状が悪化し、わずか1年で要支援1から要介護5まで重度化した「被害者」も出てきています。

今年の4月から全国の自治体で総合事業が本格化しました。介護関係者からも全国の自治体が「保険者機能強化」として「自立支援」型の介護保険運営をめざしていくことになれば、大東市で起きている事態が全国の自治体で起きかねないと不安の声があがっています。
 

●「自立支援」とはどのように認識しているのでしょうか
番組の中で、医師が語ったことは大変示唆に富むものです。
自立支援には2つの意味があります。日本では体に残っている「残存機能」といいますが、それを強化するということが自立支援と一般的には思われていますけれども、実は国際的には生活を継続できること。あるいは自己決定権が尊重されることが実は自立支援としてとても重要で、残存機能の強化というのはそのための手段にしかすぎないと考えられているのです。なので、最後までその人らしい生活が送れること、最後まで自分自身の人生の主人公として生きられることです」
これこそがまさに自立支援だと思います。


 生活が継続できること、自己決定が尊重されるということ。それがセットでないと本当の意味での自立にはならないということです。

●「卒業加算」「移行加算」地域包括支援センターへのアメ
 2016年4月に総合事業に移行した大東市では、要支援者のケアプラン(予防プラン)はすべて地域包括支援センターで作成することにし、居宅介護支援事業所のケアマネジャーは関与することができなくなりました。現行相当のサービスについては、市との協議が求められることになったものです。
「がんばる仕組み」として、「卒業」(介護サービスから卒業−1年以上サービス利用なし、地域活動参加)や「移行」(現行相当サービスから基準緩和サービスへ)した場合に加算を設けました。

 広島市でも、今年から新たに、この卒業や移行による財政的なインセンチブを取り入れています。予防プランを担当する地域包括支援センターを委託料というアメでつって卒業・移行へ駆り立てようというのではないでしょうか。

●来年度から地域包括支援センターを公募にする検討をしています。
 これまで、事業者が辞退しない限り、更新するとしてきましたが、なぜここにきて公募に方針転換をされたのでしょうか。課長は、市議会で質問があったからといいますが、このタイミングでの検討ですから渡りに船ではなかったのでしょうか。
 市の考える「重度化防止・自立支援」に沿わない事業者は、更新しないという無言の圧力になるのではないか。利用者のほうではなく、市の顔色を見て、ケアプランをたてるよう忖度させるムチになるのではないかと懸念されます。
これから、地域で住民主体のさまざまな組織や活動をすすめていくというのに、住民の顔がわかる包括支援センターがころころ変わるのは市にとっても得策ではありません。

市は、大東市の事例は問題であると言いますが、介護サービスからの「卒業」安上がりサービスへの「移行」を進めると国から財政的なインセンチブがある中で、同じ方向に向かわざるをえません。介護サービスと保険料値上げ抑制は一体のものという圧力もあるでしよう。

国は、2015年までに中重度者に重点化し、軽度者は資格のない人や住民のボランテイアにゆだねようとしています。まるで、介護保険導入前の状況のようです。
これでは制度だけ残り、「保険あって介護なし」と本末転倒です。

こうした「保険あって介護なし」を解決する道は、
根本的には、国の基幹事業と位置付けて、国による介護保険の負担(2割程度)を増やすことです。